タイ骨董日記

私、自称仏像コレクターよる東南アジア初期のヒンドゥー・仏教美術、タイのお守りプラクルアン情報。SINCE Feb2006 (C) 2006 タイ骨董日記

2021-01-01から1年間の記事一覧

シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その7

先日もう一点入手したので年内に更新しておきます。タイ南部トラン県の洞窟で発掘された塼仏(写真1、2枚目)です。これは仏暦2555年に発見(発掘)された塼仏片でタイの考古学局の発掘時の参考写真(写真3、4枚目)と比べてみましたが同型のものと分か…

クベーラの印章 ドヴァーラヴァティー期(祝!ブログ1200記事)

今月12月、ずっと譲ってほしいと頼んでいたものをやっと譲り受けました。ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製の印章(タラープラタップ)です。約3年粘った甲斐がありました。印章は塼仏と異なり数多く生産されるものでありません。しかもこの印章はクベ…

タイルー木製仏(その2)

もう1点、タイルー木製仏を掲載しましす。大きめの頭部と奥行のあるどっしりとした独特なスタイルですが不思議と良いバランスを持った像です。この像はおそらくミャンマー・シャン州のチェイントンから中国国境のあるモンラー付近のエリアから来たものだと…

シャン青銅 奉納者像

シャン様式のブロンズ像です。写真4枚目から分かるように小型の像ですがシャン美術の模範になるような顔つきで表面はブラウン・パティーナで覆われた状態最高の優品です。もともとミャンマー国境のあるタイ北部在住の方がコレクションしていたものでした。…

タイルー木製仏

久しぶりにタイルー族の木製仏の写真を掲載します。出どころはタイ北部ランプーン県です。ランプーン県には昔からタイルー族が多く住んでいます。もともとミャンマーのシャン州や西双版納(シーサンバンナ)から移住して来た方々です。ですのでタイルー族の…

ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製人物像(チャンセン出土)その9

ついにこの像を手に入れました。ドヴァーラヴァティー期のテラコッタ製女性像です。写真1枚目はこの像がタイの考古学誌ムアンボラーンの表紙写真を飾った2012年 Oct-Dec号です。写真2枚目は出土地チャンセンの博物館に展示されている同型のもの、写真…

ナーガ仏 ランナー期(ブロンズ製)

凄くいいものを手に入れました。タイ北部ランナー期のナーガ仏(ナーガ神に守られた仏陀像)です。ナーガの塒(とぐろ)部分が台座になっておりナーガの頭部分は瞑想する釈迦に覆いかぶさるように雨風から守っています。年代的には同じくランナー期のブロン…

ドヴァーラヴァティー期 猿を連れた人物像 チャイナット出土(その2)

また博物館級のテラコッタ像を入手しました(写真1枚目)。タイ中部チャイナット県で出土したドヴァーラヴァティー期「猿を連れた人物像」です。左横のビーズと一緒に出土したもので猿の部分は欠損しています。写真2、3枚目は出土地東側に接するナコンサ…

シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃(その3)

仏陀ストーリー初期、年代的には17〜18世紀のものだと思います。分厚いブロンズ製です。写真4枚目はMyauk-U ミャウーにあるアラカン王国時代(15〜18世紀)の遺跡の仏像ですが、どっしりとした体型や大きな耳の造り等、おそらくこれらの美術の影響を受…

ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その2

写真1枚目は先日入手したタイ南部出土のヴィシュヌ立像(砂岩製)です。写真2、3枚目は文献に掲載されているベトナム南部アンザン省に隣接するドンタップ省で1998年に出土したヴィシュヌ立像(砂岩製)の発掘時の写真です。約1.6メートルとかなり大型の…

ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その1

凄いものを入手しました(写真1、2枚目)。シュリーヴィジャヤ期 四臂のヴィシュヌ神像です。テラコッタやブロンズ品以外の砂岩製の像を写真だけで購入を決めることは今までありませんでしたが何枚かの写真を見てこれはどうしても手に入れるべきものだと思…

シュリーヴィジャヤ期の塼仏(ヤラー出土)

先日入手したシュリーヴィジャヤ期の塼仏(土製)です。資料(写真2枚目)に同型のものが掲載されていました。タイ南部ヤラー県出土のものでとても美しい姿の四臂の菩薩像です。昨年行ったタイ南部の主要な国立博物館の写真を確認しましたが同型のものは展…

クマントーン(ルアンポー・チェム)ワット・ターコン寺

いつも身につけているお守り、高僧ルアンポー・チェム(ナコンパトム県ワット・ターコン寺)のクマントーンです。第二次世界大戦中(仏暦2480年代前半)に作られたものです。古式鋳造という手作業で鋳造されたお守りで鋳型は同じでも鋳造後の仕上げも手作業…

ドヴァーラヴァティー期 猿を連れた人物像 チャンセン出土(その3)

久しぶりに貴重なテラコッタ片2点を入手しました。チャンセン出土「猿を連れた人物像」の下半身残欠(写真1、2枚目)です。1枚目のものは後ろ側も残っており(写真3枚目)、キッキーと歯を出した顔で人物の足にしがみついた後ろの手も可愛いです。2枚目…

シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃(その2)

もう一点持っている仏陀ストーリー初期頃(17〜18世紀)の作品「釈迦誕生のシーン」です。写真1枚目は摩耶夫人です。繊細な造りで表情がとてもリアルです。手で持った写真を掲載した過去の記事を貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2…

財宝神クベーラ

15年ほど前に入手したクベーラ神の塼仏です。タイ語で「ターウクェーン」と言います。元々ロッブリー県のコレクターのもので、既に銀製ケースも作られていました。入手後に分かったのですが同型の塼仏がロッブリー市内遺跡エリア内のソムデット・プラナー…

東南アジア初期の美術 西側の影響

タイのドヴァーラヴァティー期、カンボジアのプレアンコール期等、東南アジア最初期の仏像やヒンズー神像の彫刻には源流に近いインドのグプタ美術やアマラーヴァティー美術などの影響が見られ、それが初期の像の魅力の一つと言っていいと思います。写真はチ…

ヤショーダとクリシュナ

ドヴァーラヴァティー期(チャンセン出土)のテラコッタ像です。先日コレクターにやっと譲ってもらえたものです。(実物はまだ見ていませんが)赤ちゃんを抱いた女性像で、頭部は欠損していますが赤ちゃんの顔が典型的なドヴァーラヴァティー様式の丸顔で、…

メコンを望む(チェンコーン 丘の上から)

久しぶりにチェンセン青銅仏(シンサーム様式)の写真をアップします。写真1枚目は夜の照明下で、写真2枚目は日中外で撮影した同じものです。ブロンズ表面の色が異なって見えます。また日中は瞳がよく見えます(3枚目右側)。最後の写真はタイ北部チェン…

プレアンコール期 青銅菩薩像(バンコク国立博物館)

写真1枚目はバンコク国立博物館に展示されているナコーンラーチャシーマー県ノーンスーン郡出土の大型の青銅菩薩像頭部です。1987年、東京国立博物館で開催された日タイ修好100周年記念「タイ美術展」に日本にも来ており、当時図録の表紙を飾った有名な出展…

シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃

シャンの仏陀ストーリーシリーズの中でもとても珍しい形状のものです。3段のピラミッド型で仏陀(釈迦)が頂上に座り、2段目以下に弟子が座り、象や鹿なども捉まって説法を聞いているシーン(初転法輪?)です。最近気づいたのですが全体の形状を見るとお…

シャン青銅仏 小型

今日から6月。写真1、2枚目は塗金や台座部には朱色の塗料(チャート)が残った小型のシャン青銅仏です。実物はまだ見ていませんが最近入手したものです。後頭部には菩提樹もしくは光背があった跡があります。年代的には18世紀後半から19世紀初め頃の…

シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その6

写真1、2枚目はトラン出土の塼仏で通称「大型」と呼ばれる型です。上段中央に法輪、下の縁部分には仏塔がデザインされており、裏面には古代文字 Ye Dharmaが刻まれています。これらは「小型」や「中型」にはありません。欠損はありますが貴重な型でケース…

シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その5

写真1枚目の塼仏もトラン在住のコレクターに譲ってもらったものです。写真2枚目は発掘地近くの展示室の保管されているものすが、右側は前記事と同型のもの(小型)、左側は同じ構図ですが右側よりも少しサイズの大きい型(中型)です。写真3、4枚目は(…

シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その4

写真一枚目はトラン在住のコレクターに譲ってもらったもので、前回記事にした(トラン県フワイヨート郡の洞窟発掘の)塼仏片と同型のものです。写真2、3枚目は前回同様、タラン国立博物館の展示品(左側)と比較したものですが同型と分かります。最後の写…

シュリーヴィジャヤ期の塼仏片(タイ南部)

久しぶりにシュリーヴィジャヤ期の塼仏(写真1、2枚目)を入手しました。タイ南部出土のものという事で出土地についてははっきりと分かっていないようでしたが材質と型からトラン県出土の塼仏だと思います。写真3枚目と4枚目はタラン国立博物館(プーケ…

青銅菩薩像 頭部(シュリーヴィジャヤ期 or ドヴァーラヴァティー期)

コレクションの青銅菩薩像頭部です。今のところ弥勒菩薩(シュリーヴィジャヤ期)だと思います。写真2枚目は米ウォルターズ美術館のコレクションです。記述ではインドラ神かブラフマー神で、7世紀(タイ、ドヴァーラヴァティー期 or シュリーヴィジャヤ期…

ハリプンチャイ期の塼仏 プラ・バーン(テーサバーン出土)

ランプーン県出土のプラクルアンといえばおそらくプラ・コンが最も有名ですが、こちらのプラ名はプラ・バーン(テーサバーン出土)、同じくランプーン県で発見されたものですが出土地は異なります。大きさはプラ・コンとほぼ同じ(指の第一関節より少し長い…

ドヴァーラヴァティー期の塼仏片 ラクシュミー

久しぶりに博物館級の塼仏を入手しました。まだ実物は拝めていませんがヒンズー神ラクシュミーの上半身部分だと思います。頭部の形状や縁の装飾等もとても興味深く、これはかなり貴重な塼仏片です。年代的にはインド美術の影響を受けた東南アジア美術初期 7…

クメール王朝 青銅女神像頭部(ブリラム県出土)

タイ ブリラム県で出土したクメール王朝時代の青銅像頭部です。緑青が美しく造りも繊細です。年代的には顔の様式からスーリヤヴァルマン2世の時代(12世紀)のものだと思います。文献で調べてみるとこの像は女性の像でYogini(ヨギーニ)(写真5枚目)では…