タイ骨董日記

私、自称仏像コレクターよる東南アジア初期のヒンドゥー・仏教美術、タイのお守りプラクルアン情報。SINCE Feb2006 (C) 2006 タイ骨董日記

ベトナム発

ヴィン・フン古代寺院 (Vinh Hung Ancient Tower)バクリュウ省

先週の日曜日にベトナム南部メコンデルタ バクリュウ省のヴィン・フン古代寺院 (Vinh Hung Ancient Tower)に行ってきました。扶南国の時代からある寺院跡でアンコール時代までのかなり長い期間の遺物がここから発掘されています。 敷地内にある展示室です…

オケオ文化展示館(アンザン省)

先月、再度オケオ(アンザン省)に行ってきました。今回は1年半前(2022年8月)に行った際、閉まっていたオケオ文化展示館を無事見学しましたのでたくさん写真をアップしておきます。 下の写真3枚は今回最も見たかったものです。 周辺から出土した宝飾品、…

メコンデルタの街 チャウドック(アンザン省)

アンザン省のクメール族の村を訪ねた際、旅の起点にした街チャウドックを紹介します。ここはベトナム人にとって聖地のような場所です。チャウドック中心地から西へ5キロほど離れた場所にあるサム山には多くのベトナム寺院が点在しています。山頂からはメコン…

クメール族の村(アンザン省)

先月メコンデルタの街、チャウドック(アンザン省)に行って来ました。翌朝ホテルでバイクを借りてクメール族の村を訪ねました。チャウドックはカンボジア南部国境に接するベトナム側の街ですが、街からかなり離れたアンザン省の内部には多くのクメール様式…

ドンダップ省博物館(オケオ文化 )

先週、ドンダップ省博物館に行って来ました。昨年8月以来、2度目。今回は記事にしておきます。ドンダップ省はカンボジア南部に接しており、省の北側から南側にメコン川が流れています。博物館は省都カオラインにあります。ここに展示されている大型のヴィ…

東南アジアの博物館、おすすめ(仏教美術関連)

2018年ぐらいから2023年にかけて、コロナの時期を除いた3〜4年間で、東南アジアの多くの博物館を訪れました。以下がそのリストです。このリスト以外にも小さな街、寺院や遺跡、出土地に隣接する小規模な博物館(展示室)にも行きました。一番の目的は東南…

クメール族文化博物館(南部チャビン省)

先月、ベトナム南部(メコンデルタ)の町、チャビン(チャーヴィン)市内にあるクメール族文化博物館に行ってきました。チャビン省はソクチャン省同様にクメール族が多く住む町で、ベトナムに2つあるクメール族の博物館がこの2つの省にあります。ソクチャ…

ヴィンロン省博物館(オケオ文化 )

先週、1年ぶりにホーチミン市からさらに南のメコンデルタに行って来ました。今回の目的の1つがこのヴィンロン省博物館でした。初日にカントーのホテルにチェックインし、翌日からカントーを拠点にヴィンロン省、ティエンジャン省、アンザン省に行ってきま…

弥勒菩薩に変身したヴィシュヌ神像 (扶南美術)

歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている扶南国の弥勒菩薩像(砂岩、7〜8世紀、ビンロン省出土)と写真4枚目、タイ東北部出土の弥勒菩薩像の上半身残欠(ブロンズ製)を比較(写真5枚目)してみました。(写真1〜3枚目)大型の弥勒菩薩像(砂岩製…

扶南美術とドヴァーラヴァティー美術 比較

歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている写真右側の扶南国の木製仏(国宝、6〜7世紀、ドンタップ省出土)とタイ東部出土のドヴァーラヴァティー期青銅仏(7世紀後半〜8世紀初)を比較(写真1、2枚目)してみました。このベトナム歴史博物館(ホーチミン…

ヴィシュヌ立像(オケオ文化、6〜7世紀 )歴史博物館(ホーチミン市)

再度、ベトナム歴史博物館(ホーチミン市)を訪れオケオ出土のヴィシュヌ神像(石像)を見て来ました。写真1枚目はオケオおよびオケオ周辺で出土した発掘品です。この中にある青銅製のヴィシュヌ神像(写真1枚目の上段右側から2つ目、キエンザン出土)は…

ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その6

台座を作って来たので(完結)の予定でしたが、記事を追加します。台座は台座屋に預けて作ることも出来ますが微妙な傾きなど可能な限り本物に近づけたいので再度博物館のものと比較してみました。写真4枚目はホーチミン市のベトナム歴史博物館蔵のヴィシュ…

2023年「タイ骨董日記」ブログ始め

あけましておめでとうございます。今年はうさぎ年なのでカンボジアのココナッツカッター(うさぎの木彫り)を飾ってみました。うさぎの手前はイノシシの木彫り(タイ北部、ランナータイ)で私の干支です。ウサギと共に歩むという意味です。ちなみにベトナム…

ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その5(完結)

先月約3年ぶりにベトナムに行ってきました。1ヶ月弱滞在しましたがそのうちの10日間をメコンデルタで過ごしました。今回は前回行かなかったカントー省博物館とドンタップ省博物館、それからオケオ遺跡をホテルで借りたバイクで廻りました。またクメール…

ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その4

折れた腕はまだ接着剤で付けていませんが写真屋で撮影して来ました。真正面と真後ろからの写真(写真1、2枚目)では分からないですが、3枚目以降の写真のように上半身が斜め上に反っています。背中側からもしなっているのが分かると思います。プノンペンの…

ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その3

以前(その2)まで書き、追記を繰り返して来た記事「ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)」の続き(その3)を書きます。写真2枚目〜5枚目はホーチミン市の歴史博物館に展示されているヴィシュヌ神像(7世紀、アンザン省出土、オケオ文化)ですが2…

ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その2

写真1枚目は先日入手したタイ南部出土のヴィシュヌ立像(砂岩製)です。写真2、3枚目は文献に掲載されているベトナム南部アンザン省に隣接するドンタップ省で1998年に出土したヴィシュヌ立像(砂岩製)の発掘時の写真です。約1.6メートルとかなり大型の…

東南アジア初期の美術 西側の影響

タイのドヴァーラヴァティー期、カンボジアのプレアンコール期等、東南アジア最初期の仏像やヒンズー神像の彫刻には源流に近いインドのグプタ美術やアマラーヴァティー美術などの影響が見られ、それが初期の像の魅力の一つと言っていいと思います。写真はチ…

扶南(プレアンコール) 頭部

チャンパ初期(ベトナム南部)ガラス製の頭部(写真1〜4枚目)です。材質的には古代ビーズに近いと思います。ケースから出して撮影しました。はっきりと分かっていませんがヴィシュヌ神か菩薩の頭部だと思います。今回はメトロポリタン美術館に展示されて…

ベトナム国立歴史博物館(ハノイ)

先週初めてハノイに行って来ました。首都ハノイのあるベトナム北部は中国国境にも近い位置にあり、西側の山岳部はラオス国境と接しており、ベトナム南部と異なりカンボジアには接していません。ベトナム中部のチャンパ王国のあったミーソン遺跡はクメール美…

チャム彫刻博物館(ダナン)

先月行ってきたベトナムの続きです。ホーチミン市からベトナム中部の都市ダナンに移動しチャム彫刻博物館に行ってきました。チャムの彫刻はミーソン遺跡で発掘された10世紀頃のものがメインですが年代的には5世紀から15世紀頃までとかなり長い期間造ら…

仏像の目で年代が分かる(その8)

かなり以前(2007年)にこのブログで記事にした「チャンパの宝」→(変更後)「扶南の宝」です。金ケースに入れていますがガラス製のチャンパ初期の頭部(写真1枚目)です。材質は古代ガラス(古代ビーズ)に近いものだと思います。今回はこの頭部とFine Arts…

ホーチミン市美術館(Fine Arts Museum)

この博物館(入口正面の黄色の建物)には戦時中を含む近代から現代にかけてのベトナム人画家の絵画が展示されていますが、敷地内奥の白い建物内に東南アジア初期の石像コレクションがあることはあまり知られていないと思います。展示物はオケオ周辺やカンボ…

歴史博物館(ホーチミン市)

ベトナムの旅の続きです。20年以上ぶりに行ってきました。インドシナ様式と言われるとても雰囲気のある古い建物ですが内部は以前に比べてすごく良くなっていました。展示内容も素晴らしく、特にベトナム南部、オケオ周辺で出土した東南アジア初期(4〜8…

仏像の目で年代が分かる(その7)

ちょっとここで考察を入れます。写真1枚目は17、18年頃前にチャンパ初期のものとして入手したテラコッタ製の頭部です。写真2、3枚目は今回アンザン省の博物館で実際に見てきた砂岩製のブラフマー神像(6〜7世紀)とテラコッタ製の人物像頭部(7〜…

ロンアン省とティエンザン省博物館(オケオ文化)

次の日はかなり強行でしたがラチジャーを早朝に出発しカントーを経由してティエンザン省のミトーとロンアン省のタイアンの2箇所の博物館を回って来ました。カントーの博物館やドンタップ省の博物館も気になっていましたが次の機会にしました。最初の写真4枚…

キエンザン省博物館(オケオ文化)

次に向かったのがロンスエンから南西に行ったキエンザン省ラチジャーの博物館です。ラチジャーはロンスエンからオケオ遺跡を挟んで反対側の都市で内陸のオケオまで最も近い港町です。地図を見れば分かりますがこのラチジャーからタイランド湾を挟んだ対岸(…

アンザン省博物館(オケオ文化)

まだ旅の途中ですが余裕が出来たので更新します。今回はベトナム南部のオケオ遺跡周辺の博物館を回ってきました。その後ホーチミンに移動する為、旅はカンボジアのプノンペンからスタートし船でベトナム南部に入りました。まずは最初に訪れたのがいちばん行…

仏像の目で年代が分かる(その3)

次はベトナムのものです。ベトナムといってもカンボジア南部に近いメコン川下流域(メコンデルタ)のベトナム南部のものです。(写真1枚目)は16、17年ほど前にチャンパ初期のものとして手に入れたテラコッタ製の仏像頭部です。なかなか類例がなく、時…