タイ骨董日記

私、自称仏像コレクターよる東南アジア初期のヒンドゥー・仏教美術、タイのお守りプラクルアン情報。SINCE Feb2006 (C) 2006 タイ骨董日記

仏像の目で年代が分かる(その3)

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次はベトナムのものです。ベトナムといってもカンボジア南部に近いメコン川下流域(メコンデルタ)のベトナム南部のものです。(写真1枚目)は16、17年ほど前にチャンパ初期のものとして手に入れたテラコッタ製の仏像頭部です。なかなか類例がなく、時代と年代が特定出来ずにいたのですがこの特徴的な目のおかげで文献から2点(2枚目、3枚目)似た目の像を見つけました。どちらもベトナム南部出土のものです。2枚目はオケオ周辺から出土したものですが西洋よりの顔つきに見えます。3枚目は文献の記述ではブラフマー神の頭部(6〜7世紀)です。最近気づいたのですが、これらの目の形状が日本の飛鳥時代の仏像(4枚目、参考写真、7世紀初期)にもよく似ている点です。アーモンドアイ(杏仁形の目)とも呼ばれる日本の仏像らしからぬ独特な目ですが、同時期の東南アジアにあることから、時代のトレンドが離れた日本まで影響を与えたのだろうか?日本へは陸のシルクロード(中国、韓国経由)と呼ばれるルートで仏教と仏像が伝来されましたが、東南アジアへは海のシルクロードという南洋ルートで伝わりましたので、これらの目がアーモンド・アイであれば南洋ルートからも仏像美術は伝わったのかも知れません。何れにしても興味深い例だと思います。

<追記>2021年11月5日 当時「チャンパ初期」のものとして入手しましたが正しくは「扶南」のものです。

<追記>2022年4月18日 この記事の続きを以下のリンクで読めます。実際にオケオ周辺の博物館で見たものと比較した記事です。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-06-24
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia

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  • 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
  • 発売日: 2014/05/06
  • メディア: ハードカバー