ちょっとここで考察を入れます。写真1枚目は17、18年頃前にチャンパ初期のものとして入手したテラコッタ製の頭部です。写真2、3枚目は今回アンザン省の博物館で実際に見てきた砂岩製のブラフマー神像(6〜7世紀)とテラコッタ製の人物像頭部(7〜8世紀)です。写真4枚目がこれら3点の顔部分を比較してみたものです。サイズはまったく異なりますが目、口、鼻の特徴が共通しています。特に目の形状は独特で西洋美術(ローマ美術?)のような印象を受けます。他に類例がなく、推測ですがローマと交易のあったオケオ周辺の独自の美術ではないかと思いました。このチャンパ初期のテラコッタ製頭部は過去の記事で「カンボジア南部のもの」とか「プレアンコール期」のものと少し曖昧な説明をしていましたが今回実際に行って博物館のものと比較をした事でほぼ年代や出土地の特定が出来たと思っています。以前の記事のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.so-net.ne.jp/2018-04-05-1
<追記>下に2枚写真を追加しました。同博物館に展示されているテラコッタ製の人物像です。かなり特殊な頭部です。照明ライトが近くて見難かったのですが私のものとよく似た濃い灰色のテラコッタなのでたぶん同グループのものではないかと思っています。文献にも掲載されています。
<追記>2021年11月5日 当時「チャンパ初期」のものとして入手しましたが正しくは「扶南」のものです。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: John Guy
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー