タイ骨董日記

私、自称仏像コレクターよる東南アジア初期のヒンドゥー・仏教美術、タイのお守りプラクルアン情報。SINCE Feb2006 (C) 2006 タイ骨董日記

チャンパーサック王国の遺産

ラオス南部チャンパーサック県の古い寺院跡の壁に貼りついていたワーン製の仏像です。表情が良く、最初に見た時にすぐに欲しくなりました。写真1枚目は日中外で、写真2枚目は暗所で外光にかざして撮ったものです。

見ての通りいい顔をしています。微かに塗金も残っています。裏面には壁から剥がした際の跡(木目)が残っています。裏だけを見ても古いものの良さを感じます。でも価格面もあり(買われてしまう可能性もありましたが)少しだけ我慢してみました。

しかし、すぐに以下のことに気づき、結局、即購入しました。その理由がこの下の写真です。最初見た時からこの仏像の顔はラーンサーン王朝(美術)の影響を受けていることは分かりましたが、ラオス北部や中部とは少し異なる雰囲気を感じていました。その後、この仏像の顔がパクセー市内のワット・ルアン寺院の本尊の顔立ちに近いことに気づくまでそう時間はかかりませんでした。パクセーは南ラオス1の都市でチャンパーサック県にあります。カンボジア国境にも近いエリアで現在までカンボジア美術の影響も少なからず受けています。世界遺産のワットプー遺跡も県内にあります。このルアン寺の本尊も年代的にはカンボジアのポストバイヨンからポストアンコール期に作られたものではないかと思います。

入手した仏像とルアン寺の本尊の顔を並べて比較してみました。目や眉の形状、口や丸い顔の輪郭もよく似ています。

年代的には断定出来ませんが、ラーンサーン王朝末期かその少し後のチャンパーサック王国時代、18世紀後期か、または19世紀初めごろのものではないかと思います。これからしばらくまたいろいろと勉強出来そうです。