1枚目の写真でこの漆喰の仏像頭部がどれだけ大きいものかが分かるだろう思います。漆喰は英語でStucco(スタッコ)。ドヴァーラヴァティー期やチェンセン初期、スコータイ初期からアユタヤ初期頃の彫刻に使われた素材で他の時代にも見られるがあまり多くはないように思います。この仏像頭部はドヴァーラヴァティー期後期頃のものとしてもう20年前に手に入れたものですが、スコータイ美術やクメール美術の影響も感じられるのでもう少し要研究です。3枚目の写真はバンコク国立博物館に展示されているラーブリー県クーブア出土の菩薩像頭部(7世紀)です。この頭部はアジャンタ(インド)石窟寺院の壁画に近い美術のもで重要な出土品の一つです。この菩薩頭部との比較が写真4、5枚目ですが、上部は異なりますが目元から口もとはかなり似ており美術の影響を受けているのが分かります。久しぶりに写真を撮ったので掲載しました。
追記です。上に追加した写真はロッブリー県のソムデット・プラナラーイ国立博物館に展示されている漆喰の仏像頭部です。博物館のすぐ前にあるワットプラシー・ラタナ・マハタート寺出土のものでアユタヤ時代初期(15世紀)のものです。恐らくこの仏像頭部もロッブリー後期からアユタヤ初期にかけてのものと思われます。入手してからかなり時間が経過しましたが今回おおよその年代が特定できたように思います。
The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold Collection, the Walters Art Gallery
- 作者: Hiram W., Jr. Woodward
- 出版社/メーカー: Univ of Washington Pr
- 発売日: 1997/12/01
- メディア: ハードカバー