非常に珍しいというか、見たことのない型の塼仏を入手した。チェンマイ県南部ランプーン県境のターカーン遺跡から出土したドヴァーラヴァティー様式の塼仏の残欠で首から上は欠損している。ターカーン遺跡はランプーン県出土のプラ・クワーンというドヴァーラヴァティー様式の塼仏も出土しているのでハリプンチャイ期初期(8〜9世紀頃)の遺跡だと思います。下は文献からの参考写真ですがランプーン県出土の別の型で形状やサイズは近いものです。この型は下部のみの残欠でも希少なため文献に掲載されています(後にコレクターか保管していた完品が1点見つかっています。)。今回入手した型(写真上)も文献のもの同様に希少な型のひとつではないかと思います。又、美術様式的にみて下の型(ハリプンチャイ期)よりも数百年古いものなので後世に作られていく塼仏の基になったのではと思います。持ってみた感じもエッジが効いていて質感のある型です。下側の両脇には仏陀と仏塔を支えているライオン(獅子)がいます。デザインは異なりますが配置的には同時代の塼仏プラ・クワーンと同様です。プラ・クワーンの記事はこちらです。http://thaiart.blog.so-net.ne.jp/2017-09-28
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: John Guy
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー